ソルグ川の支流に囲まれた中心街は、東西800メートル、南北600メートルほどしかなく、真ん中に位置する自由広場には教会、観光協会、カフェ、各種商店があって、とても賑わっています。広場から商店街が放射線状に伸び、ウインドウショッピングしながらゆっくりと周辺に向かうと美しい川と水車に出合い、そのあたりには学校や高齢者施設、公園などが建設されています。その外側に自動車が通行する環状道路がめぐらされ、さらにその外側には国鉄の駅や高校、県の公共施設、墓地などが立地しています。
まさにコンパクト・シティの典型のような街です。
車が少ないわけではないのですが、リルの街には信号がありません(当然のように電柱もありません)。横断歩道にたつと車がすぐに停車してくれます。平日の午前中からカフェや街の通りは不思議に賑わっていますが、午後5時すぎともなるといっそう賑わいを増してきます。人々はあちこちで談笑を愉しみ、あるいはゆっくりと犬連れで散歩し、あるいは一人カフェでワインを飲みながら川の鴨や水車を眺めています。
午後8時頃やっと日は暮れはじめ、教会が最後の鐘を鳴らし終わるとレストランや居酒屋が賑わい始めます。日本の日常と違って、あるいはパリとも違って、時間の流れが穏やかなのはなぜだろうと思いました。