(番外編)パリの生き物印象記 3 ブラックバード(続き)

 ブラックバードと言えばジャズにもありました。「バイ・バイ・ブラックバード」。これは1926年の曲ですが、マイルス・デイビスの「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」にも収録されています。

   ブラックバード、ブラックバード、私のドアのすぐ外で

   一日中ブルースを唄ってるあんた。

   ブラックバード、ブラックバード、

   なぜそこに座って、そんなこといっているの、

   この先もお日さんは望めないなんて

 「私」は商売女で、「ブラックバード」は客の男を指しているらしい。マイルスのトランペットは卵の殻のうえを歩くような痺れるミュートでその情感を歌いあげています。

 クラシックではフランスのメシアンがフルートとピアノのための「クロウタドリ」を作曲しています。彼もクロウタドリの鳴き声が好きだったようですが、曲はおそろしいほどの自由と美しい緊張に貫かれていて、素晴らしい小品です。

 幻想的な闇のなかのクロウタドリの歌声。パリの夜の不思議な印象でした。